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人は去れど 物語は続く

2019年12月01日 12:00

人は去れど 物語は続く

新しく作られた環状路で 
外側と内側になったような
そんな街で鉄のキリンが 白い草を啄んだ

「この胸の秒針が動き出して
眠れない夜だってたまにあるよ」 
いつか君が一人になって 言ったこと、不意に思い出す

 人は去れど物語は 皮肉なほど続くものだ
 もう飛べない渡り鳥の 裡に種が眠るように
 跡形もない焦土で
 思いもしない芽が出る


いつかの国鉄をなぞるように
幾つかの地下鉄が配置された
そんな街で鉄のトビウオ 橙の海に溶けた

またあした、それだけで続く記憶
「逃げ切った罪のほうが痛いんだよ」
いつか君が伝えたかった 喪失感、少しだけ分かる

 人は去れど物語は 無残なほど続くものだ
 ないがしろなその心に 誰かがふと居座る日に
 潰えた夢を嘆く日も
 無くした恋を惜しむ日も

 不意に終わる やがて気づく


  この間ラストシーンに 相応しい光景を見た
  その次のストーリーの 伏線になっていくような
  君に伝えたくなるような


 人は去れど物語は 見事なほど続くものだ
 水面落とす石の波紋 遥か岸へ着くみたいに
 あの時僕が旅立った
 ここにて君が奏でる

 そんなふうに 人は去れど…





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螺旋

2019年11月01日 12:00

螺旋


どこかの遠い国で夕日になる 
朝日を眺めている
自分が端役だって認めたのは 
果たしていつだったろう

 この目が捉えた朝が、或いは夜が
 静かに尽きるみたいに、受け入れたんだろう

頭の中にずっと蓄えてた 
星空使い果たす
その時までは何も終われないと 
使えず萎びきった

 一切止めるにはまだ、若すぎるとして
 合切やり直しなど、遅すぎるとして

  くるくると ぐるぐると この日々は 続くだけ
  くるくると ぐるぐると この日々は 終わらない


   そういつだって フィナーレの向こうに生きている
   残念ながら ハッピーエンドでは終われない


 些細な物事ばかり、頭を巡る
 それらが渦を巻いては、連れて行かれる

  くるくると ぐるぐると この日々は 上下して
  くるくると ぐるぐると この日々は 続くだけ

  すれ違う 誰しもが もうひとりの 自分のよう
  くるくると ぐるぐると この日々は まだ、終わらない


どこかの遠い国で朝日になる 
夕日を眺めている
自分の螺旋よりもっと大きな
螺旋の影が伸びる





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横顔

2019年10月01日 12:00

横顔


彼女にあの日 ありふれたことを言われた
「愛はいらない、満たしてくれればいい」
自分自身を 見下したその目つきを
見ないふりして影だけ一つにした

 何も救わなかった僕は おそらく正しかった
 彼女はそんなもの求めてなかった

彼女の噂 その通りだと知った日
それは澱んだ情念と引き換えだった
自分を護る それすらも要らないといい
跳ねる魚をひたすら押さえつけた

 誰にでもそうしてたんだ それなら分かっている
 彼女は僕のこと見てやしなかった


  スカーフが打ち捨てられたベッドサイド 裸の体、脱がない心
  慰めを渡り継いでは息を継ぐ シャワーの粒が描く横顔


彼女が消えた 空間の片隅には
疑問と噂と憂いが積もっていた
自分にすらも 期待さえ持てないまま
浮腫んだものを残さず抱くんだろう

 何も救わなかった僕は そういう奴なんだろう
 彼女はそれでいいとすら思わない

 誰にでもそうしてたんだ 名前も意味もない夜に
 火照った横顔はとても綺麗だった、
              …なんて言えるか?


  遠い日に夢から醒めて繰り返す 重ねた体、もぬけの心
  濡れそぼり誰の傘にも宿れずに 雨足だけが描く横顔

 
 


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ラブソング☆ラブソング

2019年09月01日 12:00

ラブソング☆ラブソング


娘に手を出した教師を 警察に突き出したのが九年前
密かにその男捜して 駆け落ちて報せ途絶えた三年前
白髪の淑女が人生を嘆く
こうなるはずではなかったと

死刑は廃止だと唱える 弁護士の兄が刺された七年前
それでも翻ることなく 家族から突き放された六年前
義眼の紳士が信念を叫ぶ
何も間違っていなかったと

 愛とはとても呼び難い あのラブソングが流れる
 世界の片隅に 時代の空隙に


息子に手を挙げる自分を 救えずに手枷がついた八年前
「今なら分かるけど許せない」 そう言われ憑き物落ちた一年前
少女の片影を滲ませて語る
私よりずっと強かったと

 愛とはとても呼び難い あのラブソングが流れる
 誰かの鼓膜へと 貴方の鼓動へと


惨禍で何もかも失って 彼女が打ちのめされたあの刹那
命を絶ちきれず半身を ひきずった彼が踏み出すその一歩
この身に重ねるおこがましさすら
許されるのなら…言うものの

 何もできないそのままで ただラブソングを歌った
 ひたすら無に近く 黙殺決め込んだ
 愛とはとても呼び難い あのラブソングが流れる
 愛とは何だろう 答えたとしてどうなろう


 今欲しいのはとりあえず 愛から最も彼方で
 微かに響いてる ラブソング、ラブソング





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夢げしき

2019年08月01日 12:00

夢げしき


春は菜の花 夏は向日葵 秋は秋桜
空へと続く長い砂利道
頑張れ、負けるな 君に幸あれ そんなミーイズム
距離を置く時訪れてみる 夢げしき


 バス停に
 雀のような女学生 燕のような会社員
 その隙間すり抜ける 足が泥濘む

 「疲れたな」
 本当か嘘か分からない 自分の目盛分からない
 煩わしい街の色 心色なく

もう泣かないで 笑ってみせて そんなパレード
深海にいる誰かを見ずに 晴景色


 気の迷い
 日常へ向かう道程を 逆方向へ、非日常へ
 失くしてた我侭に 足が揺蕩う

 最果ての
 夢か記憶に在ったような 雪に埋もれる砂利道で
 閃耀が走るように 心色づく

もういいんだよ 終わりにしよう そんなモノローグ
安らぎと不安、交織になる 冬景色


 一夜明け
 想定通りの日常へ また新しく舵を切る
 自分などいなくとも 事なら回る

  それでいいと知る

春は菜の花 夏は向日葵 秋は秋桜
空へと続く長い砂利道
やり直したい 逃げ逃れたい そんなエゴ、イド
なるようになる、どうでもいいと
頭の中で訪れてみる 夢げしき




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