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取り残された者たちへ

2023年10月01日 21:00

取り残された者たちへ


取り残された者たちへ 歌える歌なんてなくて
いつだって無力感に囚われてる

取り残された者たちが 斃れたその上にできた
小綺麗な道の上を人は歩く

 「全てから取り残された者は 当るべき光に逃げ出す」という

 明日には僕も 取り残されるかもしれない
 救われぬ者になるのかもしれない


   満たされた者の鼓舞などは 心には響かないらしい
   正しさの刃得たならば 誰しもが鬼になるらしい


 「本当に救われるべき者は 救いたい姿をしてない」という

 沢山の涙、怒り、嘆き、恥を見てきた
 でもその大半が画面越し、遠くだ
 斃れたあの人 報われてた夢を見ていた                夢…【if】
 目が覚めた残酷で綺麗な今日に

 生きている誰も 取り残されるかもしれない
 救われぬ者になるのかもしれない
 堂々巡りの こぼれ落ちる今日の隙間に
 いつか取り残された理想が見えた  希望が見えた
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We are all LIARS

2023年09月10日 21:00

We are all LIARS


喜びも悲しみもない 世界に飛び立とうぜ
そんなものあるわけがない 密かに知っていながら

調子いいセリフに
騙された振りで誰しもが 
この世界を渡ってきた

 We are all LIARS
 嘘をついては嘘をつかれて 笑いあうのだ、そんなもんでしょう
 とても清廉潔白すぎる 正直者もきっと罪深い


幸せや不幸などない 未来を導こうぜ
針の穴よりもっと狭い とこだと分かっているさ

要するに望むは
心地いい、そして都合いい 
あの未来で眠ってたい

 We are all LOSERS
 誰かの目では勝利者でも 自分視点じゃ敗北者でしょう
 終わりなどないトーナメントだ 優勝者の掬う足狙う


  重ねた嘘とか敗北の数 並べて積んで
  どいつが一番ダメな奴かを 晒しあおうか
  一定数にて足切りすれば この世はハッピー?
  神様によれば大人は全て 切られるそうな  参ったな


生きる意味などない 
ぶっちゃけて言えば誰もかも 
生きてくしかないじゃない  それでも

 We are all LOSERS
 誰かの目では勝利者でも 自分視点じゃ敗北者でしょう
 お手々繋いでゴールインして それで他人が勝敗揉める

 We are all LIARS
 嘘をついては嘘をつかれて 笑いあうのだ、そんなもんでしょう
 "We are LIARS, all LIARS" そんな言葉ですらもいっそ嘘 
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フリップクロック

2023年08月20日 21:00

フリップクロック


古い時計がまた一つめくれ落ちる
眠れないままそれを ずっと見つめている―


 重い肩の荷を下ろした あなたの優しい言葉を
 拾い出せば淋しくて泣きそうなくらい
 明かり消して横たえた身に 思い出を探る心が
 温い熱を巡らせて何かを溶かして

  それはもう彼方になったはずの 嫉妬や怒り

 上手く生きられない子供の 疚しいばかりの夢想で
 憚られる残酷な快楽を描く
 徒然なる屍の中 数多の冷たい視線が
 覗き込んで連なって動けなくなって

  それはもう忘れさせたはずの 与えた痛み

古い時計がまた一つめくれ落ちる
眠れないままそれを ずっと見つめている
古い記憶がまた一つめくれあがる
忘れたいことばかり 頭の中巡る


   許せない人と同じくらい 許さない人がいる
   のたうち回るこんな夜を あなたなら知らない

  それでいい、大人になったはずの 子供が一人

古い時計がまた一つめくれ落ちる
気に障るから耳と 瞼塞いでみる
古い自分がそこに立ってるのが見える
笑顔かも涙かも 何故か分からない 分から わか

―古い時計がまた一つめくれ落ちる
ふと気がついたら朝が 窓の外に見える
古いあなたの夢一つ見てたみたい
肩の荷を下ろすように あの日時計くれた あなたに逢いに行く
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追体験

2023年08月01日 21:00

追体験


あの日のことを忘れたような 青空が広がっていた
希望の歌でまだ笑えない 沢山の人の上にも

あの日唖然としながら見てた その場所に幾つも立って
何百の旗、二万の希み 「忘れない」祈りを聞いた

 まっさらな空地に連なってた
 家々、暮らしをただ想った
 あの日を知らない子供たちの
 賑わう姿をただ見ていた


あの日をずっと残したままで 時だけは等しく流れ
「いつかはそこを見てほしいよ」と 約束をようやく果たす

あの日、数多の人生ならば 否応もなく変わった日
心に刻む痕跡全て 一つすら胸を詰まらせ 

 言葉にすることなど出来ない
 悲しさ、悔しさ、目に焼きつけ
 あの日を語った同年代の
 潤んだ瞳をただ見ていた


あの日を繋ぐ追体験は 体験に追いつけなくても
知ることにすら意味があるなら 訪れた理由になれる

 言葉にすることなど出来ない
 悲しさ、悔しさ、目に焼きつけ
 まっさらな空地に連なってた
 家々、暮らしをただ想った

 あの日を知らない子供たちが
 知らないままずっといられますよう
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来世は知らないままで

2023年07月10日 21:00

来世は知らないままで


ただ一つ願うなら 来世は知らないままでいましょうね
わたしが呟く あなたは頷く


 「なんだったっけ、あの映画って?
 なんだか似てる、そう思わない?
 …あんなに素敵な、生き方はしてないけど」

 「いつだったっけ、あれを見たのって?
 ああなれたらって、そう思わない?
 …二人なら最期、死のバレエ踊っている」

  あなたの顔とわたしの腕の 傷跡長さはぴったり同じ
  わたしの罰とあなたの罪も 一つになればおそらく同じ

ただ一つ願うなら 来世は知らないままでいましょうね
あなたが抱き寄せ わたしは泣いてる
過ちも偽りも どうでもいいと溺れる海は甘い
今だけこのまま 明日はいらない


    数えることさえ面倒な 色んな種類の紙の束
    道具でしかない顔の群れ あなたのニュースが流れてる


  あなたの嘘とわたしの夢は ばれてしまえば変わりなかった
  わたしは他人、あなたと他人 貫き通す嘘だけ決めた

もう一度
ただ一つ願うなら 来世は知らないままでいましょうね
わたしが呟く あなたは頷く
さよならの声よりも 数多の銃口向けられながら
ふたりで飛び出し 撃たれたかった

かくれんぼ(Sailing without flower)

2023年06月20日 21:00

かくれんぼ(Sailing without flower)


思い出がかくれんぼしてた 新しい道やビルで
探していたらいつの間にか ここへと導かれた

遠くから騒ぐ渋滞の音 十代に戻されて
深呼吸一つ 整えたら音のない声がした

 そこに咲いていた花は 時を超えたように
 貴方無しでこの街を漕いでいる
 私だけが時重ね遠ざかる


大丈夫が本当の意味で 「大丈夫」になった時に
無くしたものや忘れたもの 一体何だったろう

早鐘を打った心臓の鼓動 深層を暴かれて
立ちすくむ春は 晴れが過ぎて風だけが動いてた

 遠くそよいでる花は 終わり、続き、繋ぐ
 私ならばこの街を漕いでいる
 貴方ならばあのままで遠ざかる


  私ばかりこの世界に取り残された後で
  忘れないと誓った でも日々に流された
 
  「流した涙の分だけ花のように咲いてね」
  忘れられはしない 花々に包まれた その寝顔


 そこに咲いていた花は あの時とそっくり
 貴方無しでこの街を漕いでいる
 私だけが時重ね遠ざかる

 思い出が
 かくれんぼしてた花に ここに導かれて
 私ならばこの街を漕いでいく
 この涙も遠い日に花にする
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パンデミック

2023年06月01日 21:00

パンデミック


もしも
あなたとこの街の どこかですれ違っていたなら
二人がそのことに 見事に気づかなかったとして
それはステキなキセキだろう

 パンデミックで二進も三進もいかなくなってさ
 ロックダウンで塞がれてたのは街だけじゃない

 ステイホームで濃厚接触など夢の夢
 ディスタンスはソーシャル以外にドメスティックも

  逢えなくなってどれくらい経った
  ワクチンよりも求めてたのは その温もりだった


もしも
あなたがあの街で 今でも僕を想ってるなら
噂でそのことを 誰かに教えられたのなら
すぐにあなたに逢いにゆくよ

 パンデミックで二進も三進もいかなくなってさ
 ニューノーマルに合わせてくるくる僕らも変わった

  逢えなくなって「密」にすらなれず
  クラスターだったはずの二人は 一人ずつになった


  十代女子のようにシャツ掴む
  その手に秘めた決意を知った ―最後のキスはマスク越し

もしも
あなたがあの街で 今でも僕を想ってるなら
噂でそのことを 誰かに教えられたのなら
すぐにあなたに逢いにゆくよ

あなたとこの街の どこかですれ違っていたなら
二人がそのことに 見事に気づかなかったとして
それはステキなキセキだろう 

 
  
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分かれ道(あの子はだあれ)

2022年04月30日 12:00

分かれ道(あの子はだあれ)

選ばなかった分かれ道の先 微笑んでいるあの女の子に
僕は見覚えがない 見覚えがない

 心の倉庫にしまっている場面の幾つかは
 過去なのか嘘なのか もはや分からない
 喜び、悲しみ、彩られ埃を被っては
 ただ眺めてるだけで 何か為した気になってた

選んできた分かれ道の果て そこに佇みふと振り返る
僕は間違ってない とまでは言わない

 心の倉庫の隠し扉、そこには幾重にも
 鍵をかけ埋め立てた パンドラの函が
 語るも思うも死にたくなる、そう言うのも軽い
 なかったことにしてきた 痛む、傷む、悼むもの


   そのさらに奥、瞼の裏側に 跳ねる魚の
   鱗のように、闇なら濃密に 光放つ


 心の倉庫で鍵をかけた函からこだました
 「あの子はだあれ だれでしょね」 記憶、欠片、場面
 貼り付けたままの微笑みだけ、一体誰なんだ
 記憶の指が触れた 『鍵をかけろ』 声がした

選ばなかった分かれ道の先 微笑んでいるあの女の子に
僕は見覚えがない ないんだ、ないんだ、ないんだ、ないんだ

選んできた分かれ道の果て 肩を捉まれ振り返される
―僕は思い出した あの子が笑う
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